症例レポート

これらのケースプレゼンテーションは会員が国際学会で発表した症例を、患者さんの特別な好意により掲載しております。

初診時年齢:16歳6ヶ月 性別:男性
家族歴:姉と妹二人とも、前歯の叢生を認める。

主訴は、上顎前突および上下前歯の叢生より正確な診断をするために、顎関節の位置を安定させてから矯正治療方針を決定しました。
顎関節が安定した位置にあるか常に留意して矯正治療を行った結果、下顎骨の成長を促し良好な治療結果が得られました。
また、顎関節においては、良好なリモデリングが認められました。

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今回ロスフィロソフィーの基本に忠実に治療を行った、下顎の後退を伴う上顎前突の抜歯症例です。症例は初診時26歳11か月の女性で、上の歯が出ている歯ぎしりがあり咬む位置が不安定で口唇が閉じにくい事を主訴に来院した。高校生の時から左右顎関節に開口時クリックを認め、上下左右犬歯、第一小臼歯の咬耗、前歯部の叢生、咬筋の緊張が認められた。 MRIより左右の関節円板が復位を伴う前方転位を示し、セファロ分析では下顎の後方回転が認められ、ANBが6°と骨格性上顎前突である。これらよりまずスプリントにて下顎位の安定を計った後、再診断し治療方針を決定することとした。スプリントにより下顎頭を関節窩にシィーティングさせることにより、下顎骨が後下方に回転し前歯部がオープンバイトとなり、被蓋の改善が難しくなります。その状態を改善するためには下顎骨を反時計周りにオートローテーションさせるメカニクスが必要になる。今回、上下第一小臼歯抜歯により上下前歯を後退させ、上顎第二大臼歯にパラタルアーチを用い、圧下による垂直的コントロールと 下顎大臼歯のアンカーロスにより臼歯部のくさびをとり、下顎をオートローテーションさせ、フェイシャルアキシスを閉じるメカニクスを使用し、最後に咬合調整を行い緊密な機能的咬合を獲得したケースです。

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本症例は34歳1か月の女性で、臼歯関係Ⅰ級、上顎狭窄歯列弓のため左側臼歯部交差咬合し、前歯部は開咬であった。約15年前に顎関節がロックした既往があり、顎位が不安定であったため、矯正治療前にスプリント治療により顎位を安定化させた。

矯正治療中も安定した顎位を保つため、8か月間スプリントを装着しながら矯正治療を行った。開咬の改善に対してはアンカースクリューを用い、安定した緊密な咬合が獲得された。

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本症例は35才4か月の日本人女性で、口唇の突出および閉鎖不全を主訴に来院された。右側顎関節にクリックを認め、筋の緊張が強く咬合採得時に下顎を誘導することが困難であった。このため、まずは上顎にスタビライゼーションスプリントを装着して下顎位を安定させることに努めた。スプリント治療開始5か月で顎関節の症状は落ち着き、筋の緊張が緩和され下顎位がほぼ安定したと判断し、顎運動記録を採取した。この安定した下顎位にて問題点は明確化され、診断、治療計画を立案することができた。動的治療は治療計画に基づいて行われ、まず臼歯部をトランスパラタルアーチと矯正用アンカースクリューを併用してVertical controlを行い、Facial axisが開かないように留意した。Horizonalでの問題点は、歯列叢生と上下顎前歯部の突出を改善するため、上下顎の小臼歯を抜歯して対応することとしたが、上下顎右側第二小臼歯に修復物の二次カリエスがみられたため、これらを抜歯することとした。また、Transverseにおいては右側へ偏位していた下顎正中の問題を先に改善するため、左下第一小臼歯を抜歯して矯正治療を開始し、上下正中がある程度改善した時点で他の部位の抜歯を行い、咬合の再構築を図った。動的治療の結果、咬合はほぼ目標通り達成され、口唇の突出も軽減されて口唇閉鎖が容易となり、良好な側貌を得ることができた。

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