口の中の歯並びと顎関節とはダイレクトな関係にあります。図で解るように、下顎の一方に歯があり、他方の末端が下顎頭であり左右の顎関節につながっています。この顎関節と歯の咬合（咬み合わせ）の調和を計るのが矯正治療の重要な役目の1つです。顎関節において、関節窩（関節の頭部の骨のくぼみ）より下顎頭をずらすことなく口腔内で上と下の歯が咬み合っていることが機能的にも重要であり、この調和がないと歯そのもの、歯を支える歯周組織（歯茎、歯を支える骨の歯槽骨、歯のまわりの靭帯など）、顎関節、筋への負担 などへ悪影響を及ぼし、矯正治療後の安定度にも影響します。

また顎関節に問題があると、多くの場合雑音、例えばクリック音・クレピタス音を発したり、開口しにくくなったり、顎を動かすと関節に痛みがでてくる場合もあります。しばしば経験するのですが、関節自体の痛みではなく、筋緊張性の頭痛を伴うことがあります。

良い咬合とは？

顎関節に緩みがなく、下顎頭が関節窩にずれることなく緊密な状態にあり、しかも口腔内でも上下の歯が良く咬合しているのが理想です。

私たちのグループは顎関節の安定を最初に考え、その土台のもとに口腔内で上下の歯を配列します。

悪い咬合とは？

歯の咬合を均等にさせようとして、下顎頭がずれて不安定な位置となった状態です。

口の中ではこの顎関節におけるずれはわかりません。そのため私たちのグループでは本来の咬合を確認するため、咬合器、CPIという顎関節レベルでのずれを計測する機器を用いて咬合の診査を行ない、さらに後で詳しく述べますが、必要があればスプリント療法で隠れているずれ（問題）を見つけます。

顎関節は安定した位置になりましたが、上下の歯の咬合のずれが出ています。スプリント療法後によく見られる変化です。