矯正治療の顔への影響
歯は人の顔の印象を決める上での大きな要素の一つです。顔の主な部分を眉から下顎の下縁までと考えると、上下の歯及び歯根の部分が40%近くを占めています。従って、歯を矯正治療で動かすということは顔に重大な影響を与えることがわかります。特に前歯の前後的及び口唇に対する垂直的位置、前歯の傾斜度、下顎のオトガイの位置はとても重要なポイントです。
治療前
歯はある程度並んでいますが、上下の前歯が著しく前突しているので、口唇の閉鎖が困難。主訴は出っ張った口元の改善。
治療後
口唇の緊張感が少なくなり、唇はきれいなS字状のカーブを描きます。口許がすっきりしました。オトガイの位置に注目。のどからオトガイまでの距離が延びています。下顎頭を関節窩よりずらすことなく、下顎を反時計回りに回転させた結果、まるで下顎が成長したかのようにオトガイが前方に出ました。小臼歯4本を抜歯しています。大事なことは治療前に計画を説明し、目標を示し、そのために必要なことを納得して頂く。あらかじめ結果を予測するので患者はどのような結果が与えられるか治療前に把握できます。
子供の場合さらに成長発育を考えます。上顎の大きな成長は12才頃で終わりますが、下顎は女子は15才、男子は18才頃まで成長は続きます。当然成長途中の患者の治療計画を立てるには、顎を成長させ、さらに歯牙移動による顔の変化を合わせて考え予測する必要があります。これはミサイルを迎撃するのに相手が向かう方向と速度を考えて捕捉するのに似ています。成人以上に矯正治療でどのように歯を動かすかにより、顔は大きく異なってきます。