会長挨拶
はじめまして、代表の池田和己です。矯正治療を行いだして30年の月日が経ちました。周りではそろそろリタイアに近づく年代ですが、私は仕事に対する興味を失っていくどころか、益々矯正のおもしろさが増しています。
アングルが近代矯正の父として、100年以上前にエッヂワイズテクニックを確立された技術として発表されたとき、米国で圧倒的に支持され、その流れが世界中に伝わって発展してきました。しかし矯正学は古い歴史を持つゆえに、問題点が見えてきても、その大きな流れを回避しているようです。彼らの一番の関心事は口の中で歯が並んでいることであり、咬み合さっていることが目的でした。それがどのように機能しているかどうかということより、形態的にどう整っているかに主眼がおかれてきました。
一人の臨床医がこの大きな大河に疑問を持ちました。ロス先生です。口の中で歯が並んでくれば、本当に顎関節を含めた機能が良くなり、顔貌も整い、治療後も安定しているのか、実際には“歯が並んでいる”からといってそれらのことが達成されていないのが現実でした。矯正学を根底から変化させる必要が出てきました。しかしどの社会でも100年以上も継続してくると変化すること自体に躊躇する動きはかえって強くなります。誰でも今までのことを否定されたくはありません。彼は自国の米国で教えていましたが、海外からの要望に応え、世界各地で彼のフィロソフィーを教えはじめ、世界中の意欲のある矯正医にそのバトンは受け継がれています。
今、日本でも30数名の専門医がその志を受け継ぎ、次の世代に発展させようとしています。その根本の考え方は顎関節の状態を把握し、その機能のうえに歯を並べるということです。そのとき顔貌にも、更に歯周組織にも注意を払っていくわけです。歯を並べるだけの矯正学はそろそろ幕を下ろすときを迎えつつあります。楽な道ではありませんがしかし私たちは理想の矯正学の姿をそこに見出しているのです。
Roth Williams Study Club Japan
会長:池田 和己